アトピーの入浴は何度がいい?42度との『雲泥の差』を実感した話【導入編⑤】

導入編

今回はお風呂(シャワー)の温度についてのお話です。


「38〜40度で10分以内」の理由

アトピー体質の人の入浴は、湯温38〜40度で10分以内に済ませる、とよく言われます。

私も聞いたことはありました。でも正直、最初は「ぬるくて短ければいいんでしょ」くらいの軽い受け止めでした。なぜその温度なのか、理由まではわかっていなかったんです。

そして、肌にとって40度までと42度では雲泥の差だ、とも言われます。たった2度の違いなのに、なぜそこまで変わるのか。今回はそこを少し掘り下げてみます。


40度と42度の境目に、何があるのか

カギになるのは、肌のうるおいを守っている「セラミド」という成分です。

セラミドは、皮膚の一番外側(角質層)で、細胞と細胞のすき間を埋めているアブラの一種です。水分が逃げないようにフタをして、外からの刺激も防いでくれる。肌のバリア機能の主役と言ってもいい存在です。アトピーや乾癬で肌が弱っている人は、もともとこのセラミドが不足しがちだと言われています。

そして大事なのが、このセラミドや皮脂は、熱いお湯に弱いということ。

ぬるめのお湯(40度くらいまで)なら、必要なうるおいは比較的肌に残ってくれます。ところが42度を超えるような熱いお湯になると、皮脂やセラミドが急に溶け出して流れやすくなる。つまり、肌を守っているアブラの膜を、自分でお湯で洗い流してしまう状態になるんです。

たった2度ですが、肌からすると「うるおいが残るか、ごっそり奪われるか」の分かれ目になる。これが「雲泥の差」と言われる理由です。

しかも熱いお湯には、もうひとつ落とし穴があります。熱の刺激そのものが、入浴後の痒みを引き起こしやすいんです。お風呂上がりに体がカーッと痒くなる、あの感覚。熱いお湯ほど起こりやすいと言われています。乾癬の場合は、前にも書いたケブネル現象——刺激で悪化する性質——もあるので、熱による刺激は避けたいところです。

うるおいは奪われる、痒みは出る。熱いお湯は、弱った肌にとっていいことがないんですね。


自分の体で、それを思い知った

昨年の秋ごろから、乾癬の症状が徐々に悪化してきました。

初めは「乾燥シーズンに入ったからかな」と思っていました。でも、よくよく観察してみると、どうも入浴のたびに悪化している。そう気づいたんです。

思い当たることがありました。だんだん寒くなる季節、給湯の温度設定を少しずつ上げていたんです。寒いとつい熱いお湯が欲しくなりますよね。そして症状の悪化は、その温度上げと見事に比例していました。まさに、さっきの「熱いお湯がうるおいを奪う」を地でいっていたわけです。

真冬でしたが、気づいたからには下げるしかない。思いきって38度くらいに設定しました。

正直、最初は寒かったです。でも浴室暖房を使ったり、脱衣所を暖めたりして、なんとか耐えました。

すると——徐々に肌の状態が落ち着いていったんです。お湯の温度って、こんなに大事なんだと、身をもって実感しました。


給湯リモコンの数字を、信じてはいけない

ここで、ぜひ気をつけてほしいことがあります。

給湯リモコンの設定温度を、そのまま信じてはいけない、ということです。

うちの場合、表示温度より実際のお湯の温度が2度くらい低く出ていることに気づきました。逆に、機種によっては表示より高く出ることもあるはずです。これはお使いの給湯器によってさまざまだと思います。

ここが怖いところで、さっき「40度と42度が分かれ目」と書きましたが、リモコンが2度ずれていたら、40度のつもりが実は42度だった、なんてことが普通に起こりうるんです。せっかく温度に気をつけても、表示がずれていたら台無しになってしまいます。

ではどうやって正確な温度を知ったかというと、赤ちゃんの沐浴に使う湯温計を買って、実際に測ってみたんです。数百円で買えるシンプルな道具ですが、これで自分の家の「表示と実際のズレ」がはっきりわかりました。


お湯の温度を、軽く見ないでほしい

たかがお風呂の温度、と思うかもしれません。でも私にとっては、症状を左右する大きな要素でした。

ポイントをまとめると、お湯はぬるめ(38〜40度)を守ること。42度以上は、うるおいを奪い痒みも招くので避けること。そして、リモコンの数字を鵜呑みにせず、一度は湯温計で実際の温度を測ってみること。

寒い季節はぬるいお湯がつらいですが、浴室を暖めるなどの工夫で乗り切れます。同じように入浴後の悪化に悩んでいる方は、ぜひ一度お湯の温度を見直してみてください。思わぬ改善のきっかけになるかもしれません。


私が使っているもの

湯温計は、赤ちゃんの沐浴用として売られている、千円前後のシンプルなもので十分です。参考までに一つ挙げておきますが、選ぶときは、精度と耐久性が良さそうなものを選んでみてください(私は以前、すぐ壊れてしまうものを買ってしまったので……)。

正確な温度が分かるだけで、入浴後の悩みが変わることもあります。一つ持っておいて損はない道具です。

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