傷の治りが早くなった。でも、ふと不安に
3年程前から 亜鉛のサプリメントを飲み始めました。
きっかけは、傷の修復を早める効果があると知ったことです。実際に飲み始めてから、ちょっとした切り傷やあかぎれの治りが、以前より早くなった気がしています。これはうれしい変化でした。
ところが、ある日ふと不安がよぎりました。傷の治りが早くなるということは、皮膚の細胞が新しく作られるのが速くなる、ということですよね。でも、乾癬という病気は、まさにその皮膚の細胞が異常に速く増えてしまうことで起こります。だとしたら——亜鉛は、私の乾癬をかえって悪化させてしまうのでは?
心配になったので、きちんと調べてみることにしました。
「増やす」のではなく「整える」働き
調べてみて、まず分かったのは、私の心配が「亜鉛はアクセルだ」という思い込みから来ていた、ということでした。実際の亜鉛は、アクセルというより「調整役」に近い存在だったのです。
亜鉛は、皮膚の細胞が増えたり、成熟したりする過程を、正常に整える方向に働くと言われています。ただ細胞の増殖を煽るのではなく、乱れた働きを本来のバランスに戻す手助けをする。乾癬のように細胞の入れ替わりが速すぎる状態では、この「整える」働きがむしろ大切になる、というわけです。
暴走している車のアクセルをさらに踏むのではなく、乱れたエンジンの調子を整える。亜鉛の役割は、そちらのイメージに近いようです。
乾癬の人は、もともと亜鉛が不足しがち
さらに調べていくと、意外な事実に行き当たりました。
乾癬のある人は、もともと血液中の亜鉛が少ない傾向がある、という報告が複数あるのです。健康な人と比べて、乾癬患者の亜鉛の値は低めに出ることが知られています。つまり私は、余分なものを足していたのではなく、不足しがちなものを補っていた可能性が高い、ということになります。
そして、いくつかの研究では、亜鉛を補うことで乾癬の症状が和らいだという報告もあります。動物を使った実験でも、亜鉛を与えると乾癬のような状態が抑えられた、という結果が示されています。もし亜鉛が単純に細胞増殖を加速させて症状を悪化させるのなら、こうはならないはずです。心配していたことと、実際の研究結果は、むしろ逆を向いていました。
炎症や免疫の面でも、味方になる
亜鉛の働きは、細胞の調整だけではありません。
亜鉛には、免疫のバランスを整える働きや、体の酸化・炎症を抑える働きもあると言われています。乾癬は、炎症が大きな役割を果たす病気です。だとすれば、亜鉛が足りている状態を保つことは、炎症の面から見てもプラスに働きやすい、ということになります。
逆に亜鉛が不足すると、免疫の働きが乱れて、かえって炎症を強めてしまう可能性も指摘されています。こうして見ると、私が感じている「傷の治りが早い」という変化は、亜鉛が全身の修復力や免疫を底上げしてくれているサインで、それは乾癬にとっても不利にはならない——そう理解して、ようやくほっとしました。
ただし、摂りすぎには注意
安心はしましたが、ひとつ気をつけていることがあります。それは、亜鉛は「多ければ多いほど良い」ものではない、ということです。
亜鉛を長期間、大量に摂り続けると、今度は銅という別のミネラルの吸収を妨げてしまうことがあると言われています。何事もバランスで、良かれと思って摂りすぎると、別の不調を招きかねません。
一般的には、1日の上限の目安は40mgほどとされています。私が今飲んでいるのは1日14mgなので、この範囲なら安心して続けられそうです。もしマルチビタミンなど他のサプリも飲んでいる場合は、そこにも亜鉛が含まれていることがあるので、合計の量で見ておくと確実です。過ぎたるは及ばざるが如し。ここは意識しておきたいところです。
疑問は、そのままにしない
今回、あらためて思ったことがあります。それは、「良さそう」と思って始めたものでも、ふと湧いた不安は、そのままにしないほうがいい、ということです。
もし今回、心配を放っておいたら、私は漠然とした不安を抱えたまま亜鉛を飲むか、あるいはせっかく合っていたものをやめてしまっていたかもしれません。調べてみたことで、安心して続けられるようになりました。
もちろん、亜鉛と乾癬の関係は、まだ研究の途上で、「これで治る」と言えるようなものではありません。それでも、自分の体に入れるものについて、少しでも仕組みを知っておく。その積み重ねが、遠回りのようで、いちばん確かな道なのだと思っています。

